2002年7月中旬より流行しておりましたマイコプラズマ感染症は
2002年8月末にてほぼ収束いたしました。
7月中旬武芸小学校にて肺炎の児童の原因がマイコプラズマと判明。
同学年の児童で咳の続いているもの、風邪が長引いているものは
医療機関でマイコプラズマのチェックを受けるよう指示した。
その後夏休みに入ったため大流行にはならずに済んだが、
8月末までに当院受診者だけで7名のマイコプラズマ感染症を
認めました。(5才〜11才、武芸川町、美山町)
うち4名がマイコプラズマ肺炎にて入院となっています。
ただし入院患者さん全員元気に退院されました。
マイコプラズマ感染症
一般に自然治癒の多い疾患とされているが,咳の持続時間が非常に長い(ひと月に及ぶことも珍しくない)という特徴があり,5〜10歳の好発年齢児では重症の肺炎や種々の合併症を認めることも多い.適切な抗菌薬による原因療法と対症療法が必要である.
また,本症は飛沫感染などによる濃厚感染であり,保育園,幼稚園,学校,家庭などの小集団内で散発性に流行する.ワクチンは家畜以外には実用化されていないので,周囲への感染予防に対する対策と指導も大切である.
■治療の実際
1. 抗菌薬の経口投与法
本症の起因菌である肺炎マイコプラズマは他の細菌と異なり細胞壁をもたないため,細胞壁合成阻害薬であるペニシリン系やセファロスポリン系の抗菌薬は無効なので,蛋白合成阻害薬を選択しなければならない.
中でもマクロライド系抗菌薬とミノマイシンが強い抗菌作用を有するが,ミノマイシンには,乳幼児の歯や骨の発育を阻害する副作用があるため,6歳以下の患児にはマクロライド系抗菌薬を第一選択とする
今日の診療Vol.11 (C)2001 IGAKU-SHOIN Tokyo